昼頃、山本綾音は特別に仁藤心春と夜に会って食事をする約束をした。
ただし、二人が会う場所は、昨日山本綾音が食事をしたレストランだった。
「どうしてこんな高級なレストランを選んだの?」仁藤心春は驚いて尋ねた。
山本綾音は冷や汗を流しながら、「私が選んだんじゃないの。朝岚が選んでくれたの。私たちが食事を終える頃に、彼が迎えに来て、それから……えっと、会計してくれるの」
昨日このレストランの料理が美味しかったと言ったので、朝岚は彼女が今日心春と会うことを知って、ここを予約してくれたのだ。
彼女が知った時には、すでに予約が済んでいた。
そこで、彼女も断らなかった。結局、これも彼氏の好意なのだから。
「温井朝岚は本当にあなたのことを大切にしているわね」と仁藤心春が言った。「彼は本当にあなたを愛しているわ」
「私も彼が私にとても良くしてくれていると思う」山本綾音は微笑んで言った。「時々、私は思わず考えてしまうの。私にどんな資格があって、天が私にこんなに素晴らしい彼氏をくれたのかって」
「たとえ彼の家族が反対しても、あなたは彼と一緒にいることを続けられる?」仁藤心春が尋ねた。
山本綾音は固く頷いた。「私は彼を信じているし、自分にもできると信じている」
彼と付き合うことを決めた時、彼女はすでに心の準備ができていた。
二人が席に着いて注文を済ませた後、仁藤心春が言った。「昼間、電話で重要な話があるって言ってたけど、一体何なの?」
山本綾音は特別に印刷しておいた書類の束を仁藤心春に渡した。
仁藤心春はそれらの書類に目を通しながら、「なぜこれを私に見せるの?」と尋ねた。
それは銀行の振込記録だった。
「続きを見て!」山本綾音は言い続けた。
仁藤心春は読み進めた。後ろには秋山瑛真についての調査、特に当時彼が借金取りに追われていた様々な経験が記されていた。上には簡単な文字での説明だけだったが、仁藤心春はそれを読みながら、心に重圧と息苦しさを感じた。
秋山瑛真への感情を手放すように自分に言い聞かせ、実際にそうしようとしていても。
これらを見ると、やはり辛く感じてしまう。
「なぜ…彼のことを調べたの?」仁藤心春は苦々しく尋ねた。
「彼の経歴の中で、見覚えのある部分はない?」山本綾音が言った。「ある年、彼は毎月匿名の援助を受けていたの」