坂下倩乃は喜びに満ちた表情で秋山瑛真の傍を歩きながら、「瑛真、今日この店に付き合ってくれてありがとう。前からここに来たかったんだけど、一人で来るのは少し変な感じがして」と言った。
「ただの食事だよ」と瑛真は淡々と言い、誰かに見られているような気がして、仁藤心春の方向に目を向けた。
そして心春を見た瑛真は、少し眉をひそめた。
坂下倩乃もその時心春を見かけ、心の中で縁起でもないと思いながら、瑛真に向かって「あら、心春もここにいるのね。挨拶に行く?」と言った。
そう言いながらも、彼女は「そうそう、あなたに頼まれた匂い袋、もう出来上がったわ」と付け加えた。
そう言って、彼女はポケットから匂い袋を取り出し、瑛真に手渡した。「前の匂い袋は心春に捨てられちゃったけど、今度のはきっと気に入ってくれると思うわ」