第279章 誰が泥棒なのか

秋山瑛真が前に進み、坂下倩乃を一瞥した。

坂下倩乃は悔しそうに言った。「さっき私が泥棒だと非難されたんです。私が着ているこの服や靴は、全部瑛真さんが私にくれたものなのに、山本綾音さんは私が盗んだと言うんです。私はただ謝ってほしかっただけなのに、彼女は私を中傷し続けているんです！」

秋山瑛真は山本綾音を見つめた。「彼女を泥棒だと言ったのか？」

その眼差しは冷たく厳しく、上位者の威圧感を帯びており、空気が凍りついたかのようだった。山本綾音の背筋に冷や汗が走った。

この男性は、ジェイなのだろうか？かつて心春が支援し続けたジェイなのだろうか？心春は自分の食費を切り詰め、人々から馬鹿だと思われながらも、支援を続けていた。

しかし目の前のこの男性は、心春を何度も傷つけている。