第286章 また鼻血が出る

また鼻血が出てしまったのね!

仁藤心春は真っ赤な血液が子供の服に滴り落ちるのを見つめていた。

子供も心春の鼻血に驚いたのか、泣くのを忘れてしまったようだった。

「お姉さんは大丈夫だから、怖がらないで。お姉さんが綱を結んであげるから、そうしたらゆっくり引き上げてもらえるわ。いい子だから、目を閉じていてね」心春は言いながら、めまいの感覚を必死に抑えようとしていた。

幸い、子供は言うことを聞いて目を閉じた。心春は丁寧に綱を子供の体に結び付けた。

鼻血は...まだ止まらない。頭を下にしている関係で、いつもより早く流れ出ていた。

でも、それは重要ではない。今は早くこの子を穴から出すことが一番大事だ。

綱を結び終えると、心春は肩に付けたトランシーバーに向かって言った。「準備できました。引き上げてください!」