山本綾音は少し躊躇してから、ついに「わかりました、一緒に行きます」と言った。
「綾音!」仁藤心春は慌てて山本綾音の手を掴んだ。相手は善人には見えず、綾音が連れて行かれたら、きっと良いことにはならないはずだ!
「心春、あなたが何を心配しているのかわかるわ。でも私はただ工藤さんに会って、いくつかのことを説明するだけよ。大丈夫だから!」山本綾音は言った。
今は、もう朝岚が彼女を守ってくれる存在はいない。それなのに、彼女は両親を守らなければならない。
もし今断れば、高橋家が両親に報復するかもしれない。だから工藤さんに会って、自分の立場を明確にした方がいいと思った。
親友である仁藤心春も、綾音の懸念を理解していたが、このまま安心して送り出すことはできなかった。
そこで彼女は「私も一緒に行くわ。あなたを一人で彼らと行かせるなんてできない!」と言った。