もう気にしないで

「どうして今日、山本綾音を連れてきたの?」温井朝岚は質問に答えず、逆に尋ねた。

温井澄蓮は困惑し、一時的にどう答えればいいのか分からなかった。

彼女の相親を台無しにするためだと、直接言うべきだろうか?

しかし、温井朝岚にそのように睨まれると、温井澄蓮は心が震え、最後には言わざるを得なかった。「お兄さんが愛していない人と結婚するのを見たくないだけです。」

「私と工藤蔓子は今はまだ初期段階の付き合いで、結婚の話までは至っていない。それに、山本綾音を連れてきたところで、お見合いを止められると思ったのか?」温井朝岚は冷たく言った。

温井澄蓮は気まずく苦笑いした。「今となっては、それが無駄だったことは分かっています。」

「帰ろう」温井朝岚が言った。

「ああ、はい!」温井澄蓮は急いで応じたが、しばらくして温井朝岚も一緒に帰ることに気付いた。