仁藤心春は気を失い、秋山瑛真は急いで彼女を抱き上げた。その場を離れようとしたとき、山本綾音は緊張した様子で傍らについていたが、まさに一緒に立ち去ろうとした瞬間、高橋家の部下たちが突然彼らの行く手を遮った。
「秋山様、その女性を連れて行くのは構いませんが、山本綾音は残してもらいます!」工藤蔓子は傲慢に言った。
秋山瑛真は冷たい目で工藤蔓子を見つめ、「私は彼女に、山本綾音も一緒に連れて行くと約束したんだ!」と言った。
「お忘れですか?今日はここは高橋家の周年記念パーティーです。山本綾音は高橋家に逆らった以上、私たちが懲らしめなければなりません。秋山様は口を出さない方がいいでしょう」工藤蔓子は事実を歪めて言った。
山本綾音は腹が立って仕方がなかったが、今は何よりも心春を早く病院に連れて行くことが重要だった。