仁藤心春はしばらくしてから、ようやく口を開いた。「どうして?」
秋山瑛真は乾いた唇を動かし、苦々しく言った。「もし君が僕を許してくれないなら、少なくとも君の心の中に僕への感情が残っている。その感情が憎しみであれ恨みであれ、少なくとも...僕を他人として扱うことはない。でももし君が僕を許すということが、これからの君の目から僕が消えてしまうということなら...それなら...永遠に僕を許さないでほしい!」
瑛真は話しながら、声が詰まってきた。「分かっているんだ。今の状況は全て自業自得だって。君が僕にどんな仕打ちをしても、僕は受け入れる。僕は全力を尽くして、犯した過ちを償うつもりだ!」
「私がジェイに寄付したのは、あなたとは知らなかったの。それは単なる偶然だったから、あなたはそんなに心の負担を感じる必要はないわ。今日私を助けてくれて、前には私の病気の治療のために専門の医療チームまで手配してくれた。それで私には十分よ。もう私に借りはないわ。許すと言ったのは、本当に許したからなの。もしこの病気にかかっていなければ、何年か後には互いに微笑み合えて、どこかでお茶でも飲みながら、普通に話せたかもしれないわね。」
でも今は、それももう不可能なのだ!
「僕が君に借りがないわけがない。君の言葉を信じなかった僕が愚かだった!あの時、君は僕を見捨てていなかった。傷だらけの体で家の前で僕を待っていてくれた。なのに...君の言葉を信じなかった。僕は憎しみに目が曇っていた。僕は君にあまりにも多くの借りがある。」
瑛真の目に涙が浮かび、心春の手を掴んだ。「どんな罰を与えられてもいい。でも...お願いだ、僕を他人として扱わないでくれ。頼む...」
その度重なる嗚咽に、心春の胸は複雑な思いで一杯になった。
「じゃあ、なぜ今は私の言葉を信じるの?あの時の寄付者が私だと分かったから?それとも、私がもうすぐ死ぬと思っているから?死にかけている人は善い言葉しか言わないし、嘘をつかないと思っているから?」心春は尋ねた。