手の中に、彼からの温もりが伝わってきた。
仁藤心春はゆっくりと目を上げ、秋山瑛真を見つめた。「本当にそれが必要だと思う?たとえ私が昔あなたを見捨てなかったとしても、あなたが困っていた時に援助したとしても、私たちはあんなに長い間離れ離れだった。多くのものが昔とは違ってしまった。それに、時には感情というものは消えてしまえば、それで終わりなの。今のように…」
彼女は彼に握られていないもう片方の手をゆっくりと上げ、優しく彼の頬の涙を拭った。
彼の体が激しく震え、そして彼女の声が続いた。「今のように、あなたが泣いているのに、私の心は何も揺れない。昔なら、きっとすごく心が痛んだはずなのに。」
でも、今は後悔だけが残っている。
心が死んでしまうと、元通りになることは本当に難しいものなのだ。