仁藤心春は本来、病院を出てからタクシーで悠仁の学校へ向かったのですが、悠仁が見つからず、それで秋山瑛真に電話をかけ、近くのカフェにいると聞いて、そこへ向かったのでした。
「私は……」仁藤心春は言葉に詰まりました。悠仁が目の前にいるので、言いにくいことがありました。
「君は今、病院でゆっくり休養するべきなのに、こっそり病院を抜け出すなんて!」秋山瑛真は言いました。もし仁藤心春が本当に医師の許可を得て退院したのなら、病院から連絡があるはずです。
しかし、彼は何の連絡も受けていませんでした。
「あなたが悠仁を探しに来なかったら、私だって病院を抜け出したりしないわ!」仁藤心春は言いました。
「どうして僕が彼を探しに来たことを知っているんだ?病院の医師や看護師が言ったのか?」秋山瑛真は眉をひそめました。