どうして忘れられるの

温井澄蓮はゆっくりと知っていることをすべて話し、温井朝岚を物置部屋の前に連れて行った。

「ここにはお兄さんが以前描いた絵があるの。あなたが彼女をどれほど愛していたか、これらの絵を見ればわかるかもしれません」と温井澄蓮は言った。

温井朝岚は物置部屋のドアを開け、中に入った。

部屋には絵がたくさん飾られており、それらの絵に描かれている人物は全て一人の人——山本綾音だった!

それは……彼が描いた絵だった!

温井朝岚は驚愕の表情でこれらの絵を見つめた。絵の数は多く、彼がどれほどの時間をかけて描いたのかが想像できた。

これほど多くの絵を、しかも一人の人物だけを描き続けるには、数年の歳月がなければ到底描ききれないはずだ。

そして彼が彼女をどれほど愛していたのか、これらの絵を見れば十分に理解できた。