本心

そのとき、病室のドアが開き、秋山瑛真が入ってきた。

山本綾音は顔色を変え、すぐに口を閉ざした。

「どうしたんだ?何を話していたんだ?私が来たら、急に話が止まったようだけど」と瑛真が言った。

「私が手術の成功不成功に関わらず、ドナーさんにプレゼントを贈りたいと言ったんですけど、綾音がいらないと言って。その理由を聞いていたところです」と仁藤心春が答えた。

「そうか?」瑛真の視線が山本綾音に向けられた。

山本綾音は急に心虚くなり、瑛真の目を見返す勇気が出なかった。

「私から医師を通じてドナーにお礼をし、相応の謝礼も用意するから、君からプレゼントを贈る必要はない」と瑛真が言った。

「でも、これは私の問題なのに、なぜあなたがお礼をするんですか」と心春が言った。

「今となっては、こういうことで君と私を分ける必要があるのかな?」瑛真は前に進み、心春の手を取って言った。「約束を忘れていないだろう?君が生きられるなら、私と一緒になるって」