山本綾音は手術が中止になったことを知らされても、それほど驚きはしなかった。
心春が悠仁に会いたいと言った時、彼女はすでにこのような可能性を想定していた。今はただ、すべてが決着したというだけだった。
病室に戻ってきた疲れ切った心春を見て、彼女は何か言おうとしたが、何を言えばいいのか分からなかった!
「綾音、ごめんね」むしろ仁藤心春の方が先に口を開いた。
山本綾音は苦笑いを浮かべた。「そうね、本当にごめんなさいよ。あなたがこんなに簡単に自分の命を諦めるなんて、私をどうしろっていうの。もしあなたが本当に……私は毎日後悔することになるわ。どうして悠仁のことを話してしまったんだって」
もし彼女が口を滑らせていなければ、手術は予定通り行われていたかもしれない!
「たとえあなたが話さなくても、私は悠仁を探しに行った時に全てを知ることになったわ。だからあなたは何も間違ったことはしていないの」仁藤心春は言った。親友に自責の念を抱かせたくなかった。
今日の一連の出来事で疲れ果てた仁藤心春は、すぐにベッドで眠りについた。
眠る親友を見つめながら、山本綾音は病室を出た。
秋山瑛真は病室の外の壁にもたれかかり、顔には落胆と苦痛の色が満ちていた。
山本綾音は秋山瑛真の前に立ち、「どうするつもり?本当に心春をこのまま死なせるの?」
秋山瑛真は薄い唇を固く結んだまま、何も言わなかった。
「田中悠仁が今どこにいるか知ってる?」山本綾音は再び尋ねた。
「何をするつもりだ?」秋山瑛真はようやく口を開いた。
「お願いに行くの。どんなお願いでもいい、心春の命を救ってもらわないと」山本綾音は言った。
「お前が頼んだところで、彼が承諾すると思うのか?」秋山瑛真は皮肉っぽく言った。この数日で、彼は田中悠仁の性格をおおよそ理解していた。
この少年の命に対する冷淡さは、普通の人をはるかに超えていた!
「とにかくお願いしてみないと。承諾してくれなければ、他の方法を考えればいい」山本綾音は言った。
「そうだな、とにかくお願いしてみるしかない」秋山瑛真は呟くように言った。「俺も一緒に行く」
山本綾音は驚いた顔をした。「あなたも行くの?」
「ああ、お願いに行く。どうあれ、まずはお願いしてみるしかない」強硬な手段が通用しないなら、懇願するしかなかった!