彼の傷を全部見たい

「何をしているの！」秋山瑛真は仁藤心春の手を掴んだ。

「手を離して！」彼女は真剣な表情で言った。

彼は眉をひそめながらも、なお彼女の手をしっかりと握っていた。

「今すぐ手を離さないなら、医者を呼んで診察してもらいますよ」と彼女は言った。

彼の表情が変わり、何かを悟ったかのように、目に葛藤の色が浮かび、ついに手を離した。

仁藤心春は秋山瑛真の上着を脱がせ、その下のセーターも脱がせ、最後にワイシャツのボタンを一つずつ外していった。

彼の胸が彼女の目の前に現れ、腹部に巻かれた白いガーゼも見えた！

やはり、怪我をしていたのだ！

「どうして？」彼女は呟くように尋ねた。鼻の奥が痛くなり、何かが溢れ出しそうだった。

秋山瑛真は体を強張らせ、しばらくしてから「山本綾音が全部話したのか？」と言った。

「ええ、全部聞きました。もし彼女が話さなかったら、ずっと私に隠し通すつもりだったの？！」彼女は言った。今の彼女には、自分の感情がよく分からなかった。

怒りなのか、憤りなのか、それとも彼への心痛、憐れみ、心配なのか？！

「どうしてこんな風に自分の体を傷つけることができるの？私はあなたにこんな方法で私を救ってほしいなんて一度も言っていません！」彼女は大声で叱責したが、声は既に詰まっていた。

「もしお前に万が一のことがあったら、それは私にとってこれらの傷よりもずっと耐えられないことだからだ！」秋山瑛真は言った。「これらの傷は心配しなくていい。医者が既に処置してくれた。ただの表面的な傷だ。当時も急所は避けていた」

結局のところ、彼もかつては命懸けの日々を過ごしていたので、どこをどう刺せば最適なのかを知っていたのだ。

「急所を避けたとしても、自分を切りつけるなんてできないでしょう。体にいったい他にどれだけの傷があるの？」彼女は言った。

「たった7箇所だけだ！」彼は軽く言った。

実際には7箇所もあるのに、彼の口からは「たった」という言葉が出てきた。仁藤心春の心はさらに痛んだ！

「服を脱いで、見せて」彼女は言った。

「何？」秋山瑛真は驚きの表情で相手を見つめた。

「あなたの体の傷を見たいの。だから、服を脱いで！」仁藤心春は断固とした声で言った。

秋山瑛真は少し躊躇したが、最終的に服を脱ぎ始めた。

上半身の服を脱ぐと、六箇所の傷が見えた。