ちゃんとお願いして

島田書雅が拘置所から出てきた時、まだ現実感が掴めていなかった。

坂下倩乃が拘留され、秋山瑛真に訴えられたと知った時、彼女はそれほど驚かなかった。

結局のところ、秋山瑛真が以前坂下倩乃を蹴落とし、天国から地獄へと突き落とした時、彼女はそうなると予感していたのだ。

ただ、坂下倩乃への報いがこんなにも早く来るとは思わなかった！

そして今、彼女はようやく理解した。なぜあの時秋山瑛真が突然坂下倩乃を持ち上げたのか。仁藤心春を支援した「ジェイ」が、まさか秋山瑛真だったとは！

仁藤心春は一体どんな幸運に恵まれたのか、温井卿介に捨てられても、まだ秋山瑛真に守られているなんて。

それに比べて彼女は...どれだけ苦心しても、結局何も手に入れられず、坂下倩乃よりもさらに悪い状況に陥ってしまった！

島田書雅がそう考えていると、遠くに秋山瑛真が若い男性を引き止めて、何かを話している姿が目に入った！

秋山瑛真がなぜここに？島田書雅は驚きながら、近くにあるマンションの名前を見て、少し思い当たるところがあった。

そうだ、以前山田流真とここを通った時、ここは仁藤心春の弟が住んでいるマンションだと言っていた。

仁藤心春の弟...

島田書雅は角に隠れ、その若い男性を注意深く観察した。クラスメイトのグループチャットで、誰かがポスターを共有していて、そのポスターの少年が仁藤心春の弟だと言っていたのを思い出した！

そう思い出し、島田書雅は携帯を取り出してグループチャットの過去の会話を探した。そのポスターを見つけた時、彼女は息を呑んだ。

この少年は、本当に仁藤心春の弟だった。

秋山瑛真と仁藤心春の弟は何を話しているのだろう？秋山瑛真の表情を見ると、良い話ではなさそうだ！

そう思った時、今日坂下倩乃に面会した時の彼女の言葉を思い出した。「書雅、私がなぜあなたに面会に来てほしいと電話したか分かる？あなたに話したい秘密があるからよ！」

「どんな秘密？」彼女は面倒くさそうにした。もし坂下倩乃が拘置所からの電話で、来なければ一生後悔すると言わなければ、絶対に来なかっただろう。

「仁藤心春のことよ！」坂下倩乃は神秘的に言った。「知ってる？仁藤心春は白血病なの。もう数ヶ月の命しかないみたいよ！」

「何だって？」