秋山瑛真は顔色を変え、即座に「だめだ!」と言った。
「でも今は、偽物を作るにしても、少なくとも本物の図面が必要です」と仁藤心春は言った。
「だが、お前と温井卿介の今の関係では、図面を頼みに行っても、彼は絶対に渡さないだろう」と秋山瑛真は言った。
「分かっています」仁藤心春は暗い眼差しを向けたが、それでも唇の端に無理やり微笑みを浮かべた。「でも、どうあれ、試してみるしかありません」
試さなければ、本当にチャンスは全くなくなってしまう!
「俺が彼に会いに行く!」秋山瑛真は言った。「俺が条件を提示して交渉してみる。まだチャンスはあるかもしれない」
「あなたが会いに行くんですか?」仁藤心春は少し意外そうだった。結局のところ、彼が温井卿介を嫌っていることを知っていたからだ。
「ああ、俺が会いに行く。俺なら話ができる。結局のところ、GGKは塩浜市でもかなりの事業と人脈を持っている。もし温井卿介が寶石の劍の図面を俺に渡してくれるなら、俺は彼が温井家の当主の座を確実なものにできるように保証できる」と秋山瑛真は言った。
今や温井卿介が温井家で大勢を占めているとはいえ、特に温井朝岚が現在高橋家との縁談が破談になったことで、外部からは温井家の実権が最終的に温井卿介の手に渡ったと見られている。
しかし、どう見ても温井卿介はまだその地位を完全に固めたわけではない。彼らのような立場になると、最後まで油断できないことを理解している。転落は一瞬のことかもしれないのだから。
「本当に彼を助けるつもりなの?もし彼が法外な代償を要求してきたら?」彼女は心配そうに言った。
「どんな代償も、お前の命には代えられない!」秋山瑛真は言った。「俺が彼に会いに行く。交渉できる。お前が行くよりも成功の可能性が遥かに高い」
仁藤心春は口を開きかけ、何か言おうとしたが、結局は「ごめんなさい」とつぶやくだけだった。
彼女には分かっていた。彼の言うことは全て事実で、彼女と温井卿介の関係は今や氷点下まで冷え切っている。瑛真が交渉に行けば、少なくとも成功の切り札がある。
彼女の存在が悠仁に迷惑をかけ、瑛真にも迷惑をかけている。もし彼女がもっと早くこの世からいなくなっていれば、事態はここまで発展しなかったかもしれない。