仁藤心春は唖然とした表情を浮かべ、相手がこのような途方もない条件を出すとは思いもよらなかった。
「私は知りたいんだ。秋山瑛真と田中悠仁、彼らのどちらがあなたにとって大切なのか」温井卿介の声が続いて響く。「さあ、答えは?」
「大切さは...そんな風に比べられるものじゃありません」仁藤心春は苦しそうに言った。「他の条件に変えてください。この命を差し上げても構いません!」
でも彼女は、たとえ悠仁を救うためだとしても、このような形で瑛真を傷つけたくなかった!
「お前の命なんて興味ないね。もし承諾するなら、寶石の劍の動画と写真を渡そう。お前が秋山瑛真と決別した後も、彼がまだバカみたいにお前のために田中悠仁を救おうとするなら、田中悠仁にはまだ救いの道があるかもしれない。ただし、その時になって秋山瑛真がまだお前のために尽くしてくれるかどうかは分からないがね」温井卿介は物憂げに言った。