「大したケガではありません。擦り傷だけで、せいぜい青あざができる程度です。後で病院に戻ったら、打撲用の軟膏をもらってきます。二、三日もすれば、あざも引くでしょう」と秋山瑛真は答えた。
仁藤心春はようやく少し安心したように息をついた。「じゃあ、この件は片付いたわけね。ゆっくり休んでください。明日は病院に来る必要はありません。私のことは医師や看護師が見てくれているから、何も問題ないわ。それに明後日は取引の日でしょう。体力を温存しておく必要があります」
明後日は、山田流真との約束の日だった。
「明日も病院に来て君に付き添うよ。君を見ていられることが、私にとって本当の休息なんだ!」と瑛真は言った。
「……」心春は一瞬、何と返事をすればいいのか分からなくなった。
「さあ、早く休みなさい。遅くまで起きていないで。おやすみ」と瑛真は促した。
「おやすみなさい」と彼女は応えた。
翌朝、心春が目を覚ますと、瑛真がベッドサイドの椅子に座り、腕を組んで頭を下げ、目を閉じて仮眠を取っているのが目に入った。
彼は……いつ来たのだろう?
彼女は驚いて急に体を起こしたが、その動きで瑛真は目を覚ました。
「すみません、起こしてしまって」と心春は言った。
「いや、もう起きる時間だったんだ。まだ早いから、もう少し休んでいたら?」と瑛真は時計を見ながら言った。
心春は首を振って、「いつ来たんですか?」と尋ねた。
「昨日の深夜だよ。来た時に君が寝ていたから、椅子に座っていたら、そのまま寝てしまったみたいだ」と彼は答えた。
心春がベッドから降りると、瑛真も立ち上がった。「洗面所に行くの?先に上着を羽織って、風邪を引かないように……」
彼の言葉が終わらないうちに、彼女は彼の胸元の服をつかんでいた。
彼が呆然としている間に、彼女は彼のシャツのボタンを外し始めた。
瑛真の顔が赤くなった。「な、何をするんだ?」
「あなたの怪我を見たいの」と彼女は言った。
「だから言っただろう、ただの打撲で、もう軟膏ももらってきたし、数日で治るよ」と彼は言った。
「でも、自分の目で確かめないと安心できないの」と心春は答えた。
瑛真は唇を噛んで、躊躇しているようだった。
「自分で脱ぐ?それとも私が脱がせる?」と心春は続けた。