秋山瑛真の不安

仁藤心春の表情が不自然になった。「ただ……援助してくれたことへのお礼を言いに来ただけです」

秋山瑛真の心が沈んだ。彼女の表情とその言い方から、温井卿介が夜遅くに病室に来たのは、単なるお礼を求めるためではないことは明らかだった。

温井卿介は一体何をしに来たのか?

また彼女との昔の恋を蘇らせようとしているのか?そして彼女は?今の温井卿介に対してどんな感情を持っているのか?

昨夜、この病室で抱き合ったのか?あるいはもっと親密な接触があったのか?

聞きたかった。彼女の心にまだ温井卿介がいることを恐れ、自分は単なる代役に過ぎないのではないかと。もし温井卿介が彼女の心を取り戻そうとしたら、自分にはもう何のチャンスも残されないのではないかと。

しかし今の自分には、そんなことを聞く立場にもない。