「そうだな。仁藤心春はまだ彼の血が必要だから、血液バッグとしてでも、彼は生きていなければならない!」温井卿介は呟いた。「でも——」
彼は振り向き、再び田中悠仁に目を向けた。「もし仁藤心春に万が一のことがあれば、彼には生きている必要もないだろう!」
傍らにいた山本綾音はそれを聞いて、息を飲んだ。つまり、もし心春が本当に死んでしまったら、温井卿介は田中悠仁を道連れにするつもりなのだ!
しかし不思議なことに、秋山瑛真と田中悠仁はこの言葉を聞いても、表情一つ変えなかった。
秋山瑛真が田中悠仁を憎み、死んでほしいと思うのなら理解できる。しかし田中悠仁自身が少しも怖がらないなんて、まるで温井卿介が自分の命を奪うかもしれないことなど、どうでもいいかのようだった!
しかし、温井卿介はようやく剣を収め、血を見ることはなかった!