山本綾音の体が後ろに倒れかけた時、温井朝岚が咄嗟に手を伸ばして彼女を引き留めたが、慣性の力で綾音は彼の胸に激しく衝突してしまった。
ドン!
二人は床に倒れ込んだ。
温井朝岚は背中を床につけて倒れ、山本綾音は彼の上に覆いかぶさるような形になった。
「大丈夫か?」温井朝岚は心配そうに尋ねた。
山本綾音は自分の下敷きになった男性を見つめた。彼の顔色は蒼白で、額には汗が滴り落ちていた。
「まずい、あなたの傷が...」山本綾音は慌てて温井朝岚の体から離れ、心配そうに彼を見つめた。先ほどの衝撃で、きっと彼の傷を圧迫してしまったに違いない。
「大丈夫だ、心配ない」温井朝岚は無理に言った。
この様子では、とても大丈夫とは思えない!
「傷口を見せてください。裂けていないか確認させて」山本綾音が言い、温井朝岚の服を開こうとした瞬間、背後から秋山瑛真の声が聞こえた。