もう一度、一緒に

温井卿介は痛みで気を失い、温井家の部下たちはすぐに彼を船に運び込んだ。

そして温井朝岚の傷は、案の定、先ほどの圧迫で裂けてしまったが、幸い今回は医者も一緒に船に乗っていた。

そのため今、医者が温井朝岚の応急処置を行っていた。

山本綾音の目は涙で曇っていた。どうして、いつもこうなのだろう。いつも彼に傷を負わせてしまう!

「泣かないで、本当に大丈夫だから」温井朝岚の優しい声が彼女の耳元で響いた。

「私は...泣いてなんかいない」彼女は声を詰まらせたが、その涙は今にもあふれ出しそうだった。

「うん、うん、泣いてないね」温井朝岚は言った。「実は今日、心春が見つからなかったのも良かったかもしれない。少なくとも誰かに助けられた可能性が高いからね」

山本綾音は唇を噛んだ。そうね、今はそう考えるしかない、そうでもしないと慰めにならない。もし心春が本当に海底に沈んでしまったのなら...