「ママ、このおばさんは誰?泣きそうになってるけど、どうして?」幼い声が響いた。
仁藤心春は優しく微笑んで、「ママの親友よ。綾音おばさんって呼んでいいわ。ママに会えて嬉しすぎて、そうなっちゃったのよ」
「嬉しすぎて泣くの?」小さな子は不思議そうに尋ねた。
「そうよ。大きくなったら分かるわよ」心春は子供の頭を優しく撫でた。
「私は泣きたくないわ。嬉しい時は笑うの」小さな女の子は言いながら、にっこり笑って、山本綾音に向かって「綾音おばさん、笑って!嬉しい時は大きな声で笑うのがいいの。ハハハハ……」
小さな子はわざと大声で笑って見せ、山本綾音は思わず苦笑いしてしまった。
心の中には多くの疑問が残っていたが、ここは話をする場所ではなかった。
「うちに来ない?私の両親があなたと……えっと、あなたの娘を見たら、きっと喜ぶわ」山本綾音は言った。「そうそう、娘さんの名前は?」