3年の経験

仁藤心春は首を横に振って、「私は帰ってきてすぐにあなたに会いに来たの。明日は……瑛真に会いに行きたいわ」

当時、彼女が最も申し訳なく思っていた人物は、瑛真だった。

「じゃあ、温井卿介と田中悠仁は?」と山本綾音は尋ねた。

仁藤心春は淡く微笑んで、「もう会いたくないわ。死に直面して、いくつかのことについては割り切れるようになったの」

山本綾音は何か言いかけて止めた。

仁藤心春は「どうしたの?私に会いに行って欲しいの?」と聞いた。

「それはあなたが決めることよ。でも田中悠仁に会うのは構わないわ。この数年で彼も少し変わったわ。特にあなたに対する態度が。今あなたが彼の前に現れたら、きっとあなたを神様のように扱うでしょうね。温井卿介については……」

その名前を口にした途端、山本綾音は思わず身震いした。

温井朝岚との関係で、この三年間、彼女も温井卿介に何度か会ったが、その度に背筋が凍るような感覚を覚えるようになっていった。

そして温井卿介についての噂も、ますます恐ろしいものになっていった。

もし今、心春が本当に温井卿介の前に現れたら、彼が何をするか分からない。

「あなたが……温井卿介に会わないのは正解よ」と山本綾音は言った。「でも、どうして三年も経ってから戻ってきたの?体の具合はどう?血液がんの状態は今どうなの?それに、その子供のことだけど、どうして娘がいるの?まさか海に落ちた時に、すでに妊娠していたの?」

次々と疑問が山本綾音の口から飛び出した。

「私が海に落ちた時、洞窟に流されたの。そこで骨となって朽ち果てると思ったけど、幸運なことに冒険家が通りかかって助けてくれたの。でもその後ずっと意識不明で、ある医師夫婦が助けてくれたわ。そして偶然にも、その医師の奥さんが私と同じ血液型で、適合検査をしたら一致して、造血幹細胞を提供してくれたの。おかげで私は生き延びることができた。今はほぼ完治していて、薬は飲んでいるけど、もし一年経っても再発しなければ、薬も止められるわ」

仁藤心春は自分の経験を語った。

山本綾音にとって、この話はまるで夢物語のようだった。どれほどの幸運が重なれば、これほどの偶然が重なって、親友が生き延びることができたのだろう。

しかし、彼女は親友の幸運を心から喜んでいた。