以前、彼は塩浜市での仁藤心春の足跡を意図的に消し去り、温井卿介側に発見されないようにしていたが、どうやら防ぎきれないこともあるようだ。
温井卿介を恐れてはいないものの、もし卿介が心春の存在を知ってしまったら、今の温井卿介の勢力では……
秋山瑛真は表情を曇らせた。認めたくない事実だが……今の自分は温井卿介の相手にはなれない。特にこの塩浜市では。
「秋山おじさま、展志ちゃん今日すっごく会いたかった!」アニメを見ていた展志ちゃんは、秋山瑛真が来たのを見て、すぐに彼の前まで飛び跳ねてきた。
「おじさまも会いたかったよ」秋山瑛真は自然に小さな子を抱き上げた。
抱き上げられた展志ちゃんは、柔らかな小さな手を秋山瑛真の頬に当てて、「おじさま、今日は何か嫌なことあった?」
「どうしてそう思うの?」彼は尋ねた。