宝物のように

「必ず綾音さんを見つけてあげるから、私を信じて」温井卿介は優しく言い、ティッシュを手に取り、山本綾音の目から次々と零れ落ちる涙を優しく拭った。

山本綾音は涙で曇った目で目の前の男性を見つめた。彼はいつもこんなに優しい。

しかし、その優しい言葉こそが、今の彼女の最も強い支えとなっていた!

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一晩中、仁藤心春はほとんど眠れなかった。温井卿介は彼女を抱きしめたまま、まるで天使のような寝顔を見せていた。

30歳近い男性が、眠っている時でもこんな印象を与えるなんて、少し信じられないような感覚だった。

そしてさらに信じられないのは……彼の純真な寝顔と、目覚めた後の暗く狂気じみた様子との、あまりにも極端な違いだった。

三年経って、確かに多くのことが変わった。

もし最初から、彼が彼女を愛していたら、二人の関係は違っていたのだろうか?もうとっくに結婚していたのだろうか?