ようやく会えた

「渡辺秘書、これはどういうことですか?」温井朝岚は渡辺海辰を見つめながら尋ねた。

山本綾音は緊張した表情を浮かべていた。この態勢は、彼らを止めるためのものなのだろうか!

そして相手がここでこのような態勢を取り、温井卿介の私設秘書までもがここにいるということは、心春もここにいるということを意味しているのだろう。

「二少様は、大少爺様と山本さんがいらっしゃることをご存知で、特別にお二人をお迎えするように私に指示されました」と渡辺海辰は答えた。

温井朝岚の瞳が微かに揺れ、山本綾音は驚きを隠せなかった。

「私たちを中に入れるの?」と山本綾音が尋ねた。

「はい!」渡辺海辰はそう言いながら、「どうぞ」と手で示した。

すると、彼の後ろにいたボディーガードたちは直ちに散開した。