私を助けないで

面会が終わり、山田流真は看守に導かれながら面会室を出た。出る際、彼は目の端で表情の悪い島田書雅を見つめ、その瞳には計算高い光が宿っていた。

彼は恐怖の種を、島田書雅の心に植え付けたのだ。

島田書雅が本当に仁藤心春に手を出すなら、成功しようがしまいが、それは彼が望んでいたことだった。

島田書雅が行動を起こせば、彼女の末路は必ず悲惨なものとなる。そして彼は、その日が早く来ることを待ち望んでいた!

かつて島田書雅が彼に田中悠仁を誘拐させ、彼の人生をこんなにも悲惨なものにしたように。

今度は彼が、島田書雅を自分以上に悲惨な目に遭わせてやる!

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「心春」山本綾音は仁藤心春に向かって、少し躊躇いがちに口を開いた。

「どうしたの?」仁藤心春は親友を見つめ、「何か言いたいことがあるなら、遠慮なく言って」