見つかった

「家族?」

仁藤心春は呆然と秋山瑛真を見つめ、彼の口からこの言葉が聞けるとは思ってもみなかったようだった。

彼女はずっと家族を持つことを願っていたが、家族との縁は常に薄く、展志ちゃんが今の彼女唯一の家族だと思っていた。

でも……他にも家族がいるのだろうか?

秋山瑛真は一瞬躊躇してから、続けて言った。「それに私だけじゃない。父も、ずっとあなたを家族として、娘として見てきた。この数年間、父は狂気に陥っていても、あなたのことをずっと覚えていたんだ!」

仁藤心春の目に涙が浮かんできた。「秋山おじさまは…今、お元気ですか?」

「元気だよ。今でも時々狂気の症状が出ることはあるけど、以前よりずっと良くなっている。それに、よくあなたのことを話題にして、会いたがっているんだ」秋山瑛真は唇を噛んで、苦笑いを浮かべた。「父には君が失踪したことは話していない」

仁藤心春はそれを聞いて、「今度、秋山おじさまに会いに行きます」と言った。

「父は君に会えたら、きっと喜ぶよ」と彼は言った。

「だから、秋山おじさまのためにも、私と温井卿介のことに口を出さないでください」仁藤心春は真剣な眼差しで秋山瑛真を見つめながら言った。「秋山おじさまはもう年も年だし、今の状態で、そんな心配事に耐えられると思いますか?やっと病状が良くなってきたのに、私は穏やかな老後を過ごしていただきたいんです!」

「じゃあ、君はどうなんだ?本当に一生温井卿介の側にいるつもりなのか?」秋山瑛真は尋ねた。

「一生なんてことはありません」仁藤心春は淡く微笑んだ。「きっとしばらくしたら、彼は私に飽きて、自由にしてくれるでしょう。今の彼は、あの時私が突然いなくなったから、気にかけているだけ。毎日そばにいれば、たいしたことないって思うようになるはずです」

「本当にそれだけの期間で済むと思っているのか?温井卿介の君への感情が、そう簡単に冷めると思うのか?」以前は、彼も温井卿介が愛していると言うのは荒唐無稽な言葉だと思っていた。

しかし、この三年間、温井卿介が狂人のように仁藤心春を探し回り、塩浜市で次々と狂気じみた行動を取るのを見て、ようやく気づいた。温井卿介の言う「愛」は、決して軽々しい言葉ではないのかもしれないと。

「心春、彼が君を愛していないと思っているのか?」秋山瑛真は尋ねた。