瑛真と会う

「もしあなたのお兄さんが、あなたの代わりに誘拐され、その結果片足が不自由になったのなら、あなたも私と同じ選択をしたはずよ」と温井澄蓮は言った。「もう言うことはこれだけ。自分のことで私の兄を巻き込まないでほしいわ。私を利用するのは構わない。どう利用してもいいけど、山本綾音を通じて私の兄を利用するのは許さない!そうしたら、たとえ二番目の兄があなたを守っていても、私だってあなたに手を出せないわけじゃないわ!」

そう言い終えると、温井澄蓮は背を向けて立ち去った。

仁藤心春は温井澄蓮の去っていく後ろ姿を見つめながら、感慨深い思いを抱くと同時に、温井朝岚についての理解も深まった。

妹にここまで守られる男性というのは、やはり...綾音は間違った人を愛してはいなかったのね。

温井朝岚と一緒にいれば、綾音はきっと幸せになれるはず。