実の娘として扱うことができる

温井卿介だ!

仁藤心春は言った、「ありがとう」

「こんなことで、私にお礼を言う必要はない」彼は言った。

「私を支えてくれただけじゃなく、車で私と展志ちゃんをここまで連れてきてくれたことにも感謝してるの」医者についても、彼が車で来る途中に部下に病院に連絡するよう指示し、準備を整えてくれたのだ。

だから展志ちゃんは病院に着くとすぐに、時間を無駄にすることなく治療を受けることができた。

「言っただろう、こんなことで、私にお礼を言う必要はない!」彼はさっきの言葉をもう一度繰り返した。

仁藤心春は軽く唇を噛んで、「今夜は病室に残って展志ちゃんの看病をしたいの」と言った。

今は熱が少しずつ下がってきているけれど、まだ正常な体温には戻っていない。それに医者も高熱の状態が繰り返すかもしれないと言っていたので、彼女は時々子供の体温を確認する必要があった。

「じゃあ、俺もここに残る」温井卿介は言った。

「いいえ、あなたは帰って」仁藤心春は言った、「私一人で病院にいれば大丈夫だから、あなたは帰って、早く休んで...」

彼女の言葉はまだ終わっていなかったが、残りの言葉は彼の視線によって喉に詰まってしまった。

「ここに残ると言ったのは、質問ではなく、結論だ」彼は言った、「それとも、俺が残れない理由でもあるのか?」

「...ない」彼女は言った。

彼がここに残りたいと思うなら、彼女には拒否する権利などなかった。

展志ちゃんの病室は個室で、温井卿介が残ることになったおかげで、仁藤心春は時間が辛く感じなくなったような気がした。

しばらくして、温井卿介の部下が食事の入った箱を持って入ってきた。

温井卿介は言った、「夕食もまだだろう、先に少し食べなさい」

仁藤心春はそのことに気づいたが、展志ちゃんのことがあったので、お腹はずっとあまり空いていなかった。

「まだお腹が空いてないの...」

「空いてなくても、少しは食べるべきだ。それとも、体を壊すつもりか?忘れるな、君自身もまだ患者なんだぞ!」温井卿介は言った。

彼の部下は食事の箱を置いて、病室から退出した。

温井卿介は自ら食事の箱を開け、仁藤心春にテーブルの方で食事をするよう促した。

仁藤心春は心ここにあらずといった様子で食べながら、時々ベッドに横たわっている娘の方を見ていた。