何が悪いというのか?

彼女は体を震わせた。彼女が覚えていたことを、彼も覚えていたのだ。

宇宙館から帰ってアパートに戻ると、仁藤心春はすべてが非現実的に感じられた。温井卿介があんなにも忍耐強く展志ちゃんに付き添い、昼食の時にはほとんど彼が小さな子に料理を取り分け、ステーキを食べる時も小さく切り分けて、子供が噛んで飲み込みやすいようにしていた。

展志ちゃんが疲れると抱っこし、欲しいおもちゃがあれば自ら買い与え、さらには宇宙服を着て一緒に写真を撮りたいと言えば、あの厚い宇宙服を着て写真に収まることさえ承知したのだ。

これらは、彼女が以前には想像もできなかったことだった。

実は今日だけではなく、彼が展志ちゃんを本当に実の娘として扱うと言ってからは、少しずつ変わってきていた。

そんな彼を見ていると、彼女の心には何かが触れるものがあった。

彼は...少し変わったのだろうか?彼の行動はまだ常軌を逸しているが、今日の彼と展志ちゃんの様子を見ていると、彼が良い父親になれるとさえ思えた。

良い父親?!

何を考えているんだ!

仁藤心春は頭を振って、その考えを振り払い、急いで身支度を整えた。展志ちゃんはまだ彼女が寝る前のお話を聞かせるのを待っているのだから!

仁藤心春が身支度を終えて浴室から出て部屋に戻ると、彼女は驚いた。

展志ちゃんはすでに眠っており、そのベッドの傍らに座っていたのは...温井卿介だった!

彼はまだリズミカルに子供の布団の上から小さな体を叩いており、彼女が入ってくる気配を感じると、振り向いて「シーッ」と指で合図した。

仁藤心春は複雑な表情でこの光景を見つめ、心の中で何かが芽生え始めるのを感じた。

しばらくして、温井卿介は小さな子が本当に眠ったことを確認してから手を止め、立ち上がって仁藤心春に言った。「お姉さんは身支度が終わりましたか?」

「うん」彼女は答えた。「なぜ...こんなことをするの?」

「何が?」彼は眉を上げた。「展志ちゃんを寝かしつけたことについて聞いているの?」

「寝かしつけだけじゃなく、この数日間の彼女に対するすべての行動よ。なぜそうするの?」彼女は言った。「本当に彼女のためを思っているの?それとも単に...」

彼女の声は途切れ、後半の言葉は口の中に隠れた。