二つの香り袋

幸い、秋山瑛真はすぐに一歩踏み出して秋山おじさんを止めた。

「離せ、翔燕を探しに行くんだ、彼女を探しに行かなきゃ、また彼女のためにお金を借りることができる、まだたくさんたくさん借りられるんだ、彼女はこんな風に私を置いていくはずがない、絶対にないはずだ!」秋山おじさんは必死に秋山瑛真を叩き、彼を押しのけようとした。

秋山瑛真は黙って父親の引っ掻きや罵りに耐えながらも、一歩も動かず、ただしっかりと父親を抱きしめた。「お父さん、落ち着いて、もうお金を借りる必要はないんだよ!」

しかし秋山おじさんは聞こえていないかのように、依然として泣き叫び、拳を何度も秋山瑛真の体に打ち付けていた。

仁藤心春は秋山おじさんの口から母親の名前が繰り返し呼ばれるのを聞いて、思わず胸が痛くなった。