霧島冬真が先に沈黙を破った。「行こう」
夏目星澄は冷たい目で彼を見つめ、何も言わずに歩き出した。
彼女は車で来ていたが、霧島冬真は酒を飲んでいたので、当然運転はできなかった。
彼は当然のように夏目星澄の車に乗り込んだ。
夏目星澄はその様子を見て、今さら降りろとも言えなかった。
彼女は車を二人が以前住んでいた別荘へと直接向かわせた。
このような状態の霧島冬真が実家に戻れば、おばあさまが見たら心配するに違いないからだ。
到着しても、霧島冬真は助手席で目を閉じたままだった。
夏目星澄は彼が酔いつぶれているのかもしれないと思い、そっと揺すって、「起きて、着いたわよ」と声をかけた。
霧島冬真はようやくゆっくりと目を開け、小さく返事をした。
しかし、依然として席から動こうとしなかった。