第31章 申し訳ありません、お邪魔しました

夏目星澄はもう寝る準備をしていた。

突然、WeChat で何通かのメッセージを受け取り、驚いた。

開いてみると、久しぶりに連絡を取っていない緒方諒真からのメッセージだった。

その内容は更に信じがたいものだった。

霧島冬真が大変なことになったというのだ!

夏目星澄には霧島冬真がどんな大変なことになったのか想像もつかなかった。

でも、本当に何かあったら、離婚の話がまた先延ばしになってしまうのではと心配になった。

そこで霧島冬真の携帯に電話をかけてみた。

しかし、何度か呼び出し音が鳴っただけで誰も出ず、最後には電源が切れてしまった。

これはいったいどういうことだろう?

ちょうどそのとき、緒方諒真から再び何通かのメッセージが届き、早く来るようにと催促していた。

夏目星澄は胸がドキッとし、詳しく尋ねる余裕もなく、急いでコートを着て外に飛び出した。

ところが、階下で電話をしている霧島雪栄とばったり出くわしてしまった。

おそらく夏目星澄の足音が大きすぎたのだろう、霧島雪栄は驚いて慌てて電話を切り、星澄を睨みつけた。「何してるの?こんな夜中に。私を驚かせたいの?」

夏目星澄は携帯と車のキーをしっかりと握りしめ、「ちょっと用事があって出かけないといけないんです」

しかし霧島雪栄は意地になって彼女の前に立ちはだかり、冷ややかに笑った。「こんな時間に出かけるの?冬真が家にいないから寂しくて、外で男を漁りに行くんでしょう?」

「やっぱりあなたみたいな下賤な身分の人間は品がないわ。男がいないと眠れないなんて!」

夏目星澄は霧島雪栄に時間を無駄にしたくなかった。「もう少し礼儀正しく話してください。私がどんな人間かは、あなたが判断することではありません。もう遅い時間ですし、喧嘩はしたくありません。もしおばあさまが目を覚ましたら、あなたと私のどちらの味方をすると思いますか?」

霧島雪栄は顔を真っ白にして怒った。「いいわね、この生意気な!今度は老婆を盾にするつもり?信じられない...」

彼女は手を上げて夏目星澄を平手打ちしようとした。

夏目星澄も怯まなかった。「やってみればいいでしょう。その一発の結果がどうなるか!」

霧島雪栄は自分の母親が夏目星澄を極端に贔屓していることを知っていた。もし本当に手を出せば、間違いなく家から追い出されるだろう。