第29章 誰があなたを不機嫌にさせたの?

ゴールデンパレスカジノは、潮見市で最も高級な消費エリアだ。

ここは多くの富豪たちの遊び場であり、出入りする人々のほとんどが身分と地位のある者たちだ。

普段から緒方諒真はここでよく過ごしていた。美味しい料理だけでなく、ワンストップサービスと従業員の申し分のないサービス態度に満足していたからだ。

そのため、彼は年間契約で専用の個室を確保していた。

いつでも気軽に立ち寄れるように。

今夜、霧島冬真が突然飲みに誘ってきたので、ここを選んだ。

黄色みがかった照明に青みがかった冷たい光が混ざり、個室全体を包み込んでいた。目の前のテーブルには様々な料理や軽食が並び、空になった酒瓶が脇に置かれ、大きなスクリーンではカラオケの映像が流れていた。

個室には計四人、三人の男性と一人の女性がいた。

女性はビジネススーツを着用し、白いシャツに黑いスカート姿で、清楚で愛らしい容姿をしていた。胸元の名札から、彼女がここの接待マネージャーであることが分かった。

彼女は今、お客様たちにいつでも酒を注げるよう、傍らで待機していた。

左側のソファには深灰色のスリムなスーツを着た男性が座っていた。その容貌は凛々しく美しく、体格も高く凛とした姿で、一挙手一投足に気品が漂っていた。

彼こそが潮見市の多くの女性たちが憧れる理想の男性の一人、不動産界の大物、林田真澄。林田様として知られ、林田瑶子の兄でもある。

そして彼の向かいに座っているのが緒方諒真だ。端正な顔立ちで、気さくな性格の持ち主。父は市長、母は大学学長という、潮見市では極めて高い地位にある家柄の末っ子で、甘やかされて育った。電子ゲームが好きで、自ら技術開発会社を立ち上げた。

そして中央の席に座っているのが霧島冬真だ。漆黒のスーツに身を包み、高貴で美しい容姿、深い眼差しを持ち、全身から気品のある優雅な雰囲気を醸し出していた。

四年前の事故以来、彼は人前に姿を見せることが少なくなった。

神出鬼没の霧島様は、依然として潮見市どころか全国でも名実ともに権勢を誇る名家の御曹司だった。

霧島グループは彼の指揮の下、数々の輝かしい成果を上げ、ここ数年は海外でのビジネス展開でも一定の地位を確立していた。