第34章 おばあちゃんが病気になった

霧島冬真は家政婦を責めることはなかったが、不満を抱えながら朝食を食べた。

食べないと、胃が持たないからだ。

しかし家政婦の作った朝食は本当に不味く、いつもの夏目星澄が用意するものとは全く味が違った。

霧島冬真の表情が次第に悪くなっていくのを見て、家政婦は慌てて言った。「旦那様、私の料理がお口に合わないのでしょうか。よろしければ、どこが悪いのか教えていただければ、明日は改善させていただきますが...」

霧島冬真は冷たく笑い、何も言わなかった。

目の前の朝食を適当に数口食べた。

少なくとも胃の具合は良くなるだろう。

家政婦もそれ以上聞けず、静かに脇に下がり、携帯を取り出して夏目星澄のLINEを開き、憂いを帯びた表情で送信した。「若奥様、旦那様は私の作った朝食がお気に召さないようです。明日からはやはり若奥様に作っていただいた方が...」

夏目星澄はすぐに返信をした。「大丈夫です。何度か作っているうちに、慣れてくれるはずです。」

家政婦は落胆した表情を浮かべた。

先ほどの霧島様の様子では、何度食べても慣れそうにない。

彼女は本当に困っていた。

どうしようもなければ、新しい仕事を探すしかないかもしれない......

夏目星澄が別荘を去ってからは、霧島冬真とは一切連絡を取っていなかった。

一心不乱に自分のキャリアに打ち込んでいた。

彼女は音楽界から3年間姿を消していた。

しかし、彼女が作詞作曲した曲は常にネット音楽チャートのトップ10から落ちることはなかった。

そのため、新曲制作への自信も大きく膨らんでいた。

芦原雅子も全面的に彼女をサポートし、独立した音楽スタジオを用意してくれた。

すべてが良い方向に向かっているときだった。

突然、お婆様が病気で入院したという知らせを受けた。

急いで車を走らせ、霧島グループの私立病院へ向かった。

最上階のVIP病室。

夏目星澄はエレベーターを降り、長い廊下を通り過ぎ、曲がり角を曲がると、霧島冬真が表情を曇らせながら窓際でタバコを吸っているのが見えた。

彼は背が高くスタイルが良く、容姿は端正で、気品のある雰囲気を持ち、そこに立っているだけでも人々の目を引いた。

夏目星澄がお婆様の様子を尋ねようとした矢先、後ろから甘い声が聞こえてきた。「冬真さん！」