第35章 星澄の功績

登坂萌乃は顔を曇らせたまま、黙っていた。

梁川千瑠の言うことには一理あった。

確かに彼女は梁川千瑠を甘やかしてきた。

幼い頃の梁川千瑠は、素直で可愛らしく、甘えん坊で、お婆ちゃんお婆ちゃんと呼んでくれた。

とても愛らしい子供だった。

しかし今では、梁川千瑠を憎まないでいられるのが、最大の慈悲というものだった。

しかし梁川千瑠は登坂萌乃が聞きたがっているかどうかに関係なく、勝手に説明を始めた。「冬真さんが事故に遭った後、私も側にいて看病したかったのですが、母が病気だと嘘をついて私を呼び戻し、強制的に海外に送り出したんです。」

「海外で冬真さんのことが心配で、うつ病になってしまい、自殺まで図りました。冬真さんに会いたくて帰国しようとしましたが、母が許してくれなくて。冬真さんが目覚めて回復したと聞いて、早くうつ病を治して、最高の状態で会いに行こうと思っていたのに、まさか彼があんなに早く結婚するなんて。」