夏目星澄と霧島冬真は結婚して三年になる。
しかし、ずっと別々に寝ていた。
本家にいる時だけ、二人は同じベッドで眠る。
夏目星澄は実のところ、霧島冬真に抱かれるのが好きで、男性の体温を感じるのが好きだった。
それが彼女に帰属感を与えてくれた。
たとえ短い時間でも、とても好きだった。
そうして抱かれたまま30分以上が過ぎた。
霧島冬真はようやく目を覚ました。
目を開けると夏目星澄の優美で穏やかな顔が見えた。「もう少し寝ていればよかったのに?」
そう言いながら、彼は額を彼女の額に当てた。
よかった、熱は下がっている。
一晩中頑張った甲斐があった。
夏目星澄は男性の突然の親密な行動に緊張して、「あ、あなた...何してるの?」
霧島冬真は彼女の具合が良くなったことを確認し、淡々と言った。「まだ熱があるか確認してた。」
夏目星澄は少し驚いて、「私、熱があったの?」
霧島冬真は頷いた。「ああ、昨夜帰ってきた時、君は熱を出していて、汗もたくさん出ていた。」
夏目星澄は思わず身に着けている服を掴み、白く清らかな顔が赤く染まった。「じゃあ、じゃあ私の寝間着は...熱で汗をかいたから着替えさせられたの?」
彼も彼女のことを気にかけてくれていたんだ。
霧島冬真は体を起こし、侵略的な視線で彼女の体を舐めるように見て、意味ありげに言った。「そうでなければ何だと思った?私が何かしたとでも?」
夏目星澄の顔がさらに赤くなった。「違う、そんなふうに思ってなかったわ!」
まるで自分が渇望しているかのような言い方。
「実はそう思っても構わないんだ。私たちは夫婦なんだから、一緒になるのは当然のこと。それに、おばあさまも私たちに子供が欲しいと願っている。もし君が望むなら...」
霧島冬真は考えた。父親にその非現実的な考えを早く諦めさせるには、子供を作るのが一番いい方法だろう。
しかし夏目星澄は子供の話を聞いた途端、本能的に拒否した。「私、子供は欲しくないわ。」
霧島冬真は表情を硬くした。「なぜだ。」
以前彼女が離婚を望んでいた時は子供を望まないのも理解できた。しかし今は離婚の話も立ち消えになったのに、なぜまだ子供を望まないのか?