第61章 離婚届にサイン

霧島峰志は、お婆様が夏目星澄をそれほど庇護するのを見て、先日の会話のことを告げ口したのだと思い込んだ。

心の底から夏目星澄をより一層嫌うようになった。

彼女は分別のある従順な人だと思い、かなりの経済的補償も与えたのに。

まさか彼女がこれほど恩知らずとは!

霧島峰志も直接本音を明かした。「母さん、なぜそこまでするんですか。星澄は元々冬真には相応しくないんです。早く離婚した方が皆のためになります。母さんがどれほど彼女を気に入っていても、彼女は我が霧島家にとって何の価値もないんです!」

「馬鹿を言うな!」登坂萌乃は星澄を慰めていたところ、息子がまたそんな無茶苦茶なことを言い出し、本当に腹が立った!

「あなたは完全に的外れなことを言っているわ。あの時、冬真が意識不明で世話が必要な時、なぜ星澄が息子に相応しくないなんて言わなかったの?やっと冬真が目覚めても、脊椎神経損傷で立てなくて、気性が荒く、人を見かけては罵倒していた時、なぜ星澄に価値がないなんて言わなかったの?」

「今はどう?あなたの息子は健康に立ち上がれるようになって、あなたの代わりに霧島家や会社の経営もできるようになった。そうしたら急に星澄が目障りになって、追い出そうとする。あなたにまだ人間性があるの!」

霧島峰志は高い地位に就いて長年、このように面と向かって叱責されたことなどなかった。

しかも、最も軽蔑している夏目星澄の前でだ。

彼の老けた顔は怒りで赤黒くなった。

しかし叱責した相手は母親であり、強い言葉は返せなかった。

ただ道理を説いて、情に訴えるしかなかった。

「母さん、いつも感情的になってはいけません。当初から私は二人の結婚に反対でした。母さんが冬真に星澄に対して責任を取らせようとしたんです。でも三年経っても、星澄は子供一人産んでいない。霧島家に残る意味なんてありません」

「確かに、当時彼女は多くを犠牲にしました。だから今回の離婚でも十分な経済的補償を約束しました。そして彼女自身も同意したんです」

登坂萌乃は信じられない表情で、「星澄、本当に同意したの?」

夏目星澄はあの日の霧島峰志との会話を思い出した。あの勝ち誇ったような態度で、彼女が同意しなくても、他の手段で同意させる気だった。

そして最も重要なのは霧島冬真の態度だ。