第62章 霧島家はあなたに借りがある

夏目星澄はついに我慢できず、目に涙を浮かべながら「お婆ちゃん、そんなに取り乱さないで。体が大事だから、興奮しないで」と言った。

事ここに至っては、もう仕方がない。

無理に結ばれた縁は実らないというけれど。

霧島冬真との縁はここまでだったのかもしれない……

霧島お爺様も妻を抱きしめながら、優しく慰めた後、夏目星澄に向かって諦めたように溜息をつき「星澄、気にすることはない。冬真と別れても、お前は私たちの大切な孫娘だ。これからも家に帰ってきておくれ。いつでも歓迎するよ」

夏目星澄は目が熱くなり、涙が溢れそうになった。「ありがとうございます、お爺様。時間があれば、必ずお爺様とお婆ちゃんに会いに来ます」

霧島お爺様は頷きながら、心の中で同じように別れを惜しんでいた。

夏目星澄は時間が来たと感じ、これ以上長居するのも適切ではないと思い、思わず言った。「そうそう、これは前に作った香り袋です。安眠効果があるので、お婆ちゃんが頭痛で眠れない時は、枕元に置いてください」