第107章 彼女は妊娠していた

霧島冬真は怒りながら緒方諒真のところへ戻った。

全て彼のせいだ。暇つぶしに、こんなくだらない番組を見に連れてきたりして。

腹が立って仕方がない!

緒方諒真は霧島冬真が戻ってくるのを見るなり、すぐに言った。「さっき梁川千瑠が来て、お祝いの食事に誘っていたよ。」

霧島冬真の目に冷たい色が浮かんだ。「何のお祝いだ?」

緒方諒真は携帯の投票のスクリーンショットを霧島冬真に見せた。「彼女が一位を取ったお祝いだよ。知らなかったの?ネットの投票数で夏目星澄より十数万票も上回ったんだ。」

霧島冬真は音楽には詳しくないが、誰が上手く歌っているかは分かる。

梁川千瑠の歌唱力は平凡で、こんな高い票数を得るはずがない。

この投票には絶対に問題がある。

しかし、夏目星澄本人が気にしていないのなら、自分が余計な口出しをする必要もない。