暗くなるまで、夏目星澄は適当な物件を見つけることができなかった。
今夜はホテルで数日間しのぐしかないようだ。
チェックインを済ませたところで、林田瑶子から電話がかかってきた。「星澄、今どこにいるの?」
「外で食事してるわ、どうしたの?」夏目星澄は東條煌真のサプライズを台無しにしたくなかったので、何も知らないふりをした。
「別に、さっき帰ったら東條煌真がいてね、サプライズまでしてくれたの。びっくりして死ぬかと思った。後で君が出張で数日いないって聞いたけど、どうして前もって教えてくれなかったの?」
夏目星澄は林田瑶子の口調から、文句を言っているものの、心の中では嬉しくて仕方がないのだろうとわかった。
それなら二人の世界を邪魔するわけにはいかない。
「会社が急に決めたことで、私も今知ったところよ。東條煌真が帰ってきたなら、二人でゆっくりお祝いしてね。」