第119章 契約を解除したい

夏目星澄は、なぜ霧島冬真が何度も「後悔するなら今からでも間に合う」と言うのか分からなかった。

この男の言葉には何か深い意味があるように感じた。

もしかして、後悔しているのは彼の方なのだろうか?

夏目星澄はそう考えた瞬間、すぐに首を振った。

そんなはずない、絶対にない。

そもそも彼は強制的に彼女と結婚させられたようなものだった。

今、彼女から離婚を切り出したのだから、むしろ喜ぶはずだ。

しかも、彼の心の中で忘れられない初恋の人も戻ってきたのだ。

めでたしめでたしの結末になるはずだ。

彼女という脇役はとっくに退場すべきだった。

霧島冬真は目の前で首を振ったり頷いたりしている女性を見て、眉をひそめた。

これは承諾したということなのか、それとも拒否したということなのか?

待ちくたびれて、「夏目星澄、話せ」と言った。