第118章 悪徳資本家

霧島社長は離婚したとはいえ、以前より夏目星澄のことを気にかけているような態度を見せていた。

夏目星澄がそう言っても、大谷希真は少しも油断することはできなかった。

「夏目さん、確かカプチーノがお好きでしたよね。すぐにお持ちしますが」

夏目星澄はお腹の中に赤ちゃんがいることを思い出し、その好意を断った。「結構です。すぐに霧島社長とお話しして帰りますから」

大谷希真は丁寧にお辞儀をして、「分かりました。では失礼します。何かございましたらお申し付けください」

夏目星澄は無意識に自分のお腹に手を当て、心の中でつぶやいた。「ごめんねベビー、ママがあなたを望まないわけじゃないの。ただパパとママの関係があまりにも悪くて...もしこの後二人が喧嘩を始めても、聞こえないふりをしてね...」