夏目星澄は、実の両親がお金のために自分をここまで追い詰めるとは思ってもみなかった。
彼女は以前自分の寝室だった、今は倉庫となった部屋に閉じ込められていた。
かつて実家が立ち退きになった時、夏目星澄にも権利があった。
しかし両親は、将来は嫁に行くのだから家なんて必要ないと騙した。
そして彼女の家は弟の夏目晴貴の名義に書き換えられた。
彼女に残されたのは、最も狭い部屋だけだった。
そこにはシングルベッドと小さな机が置けるだけの空間しかなかった。
それでも彼女はそこで3年間過ごした。
大学に合格した年、彼女の部屋は妹の衣装部屋になった。
長期休暇の時でさえベッドで寝ることができず、床に布団を敷くしかなかった。
そして今、彼女を閉じ込める「牢獄」となった。
夏目星澄は椅子に縛り付けられ、身動きが取れなかった。
しかし、ドアの外で夏目利道と岡田麗奈が話している声は聞こえた。
夏目利道は少し心配そうに「お前、こうして彼女を縛っちまって、本当に大丈夫か?後で警察に通報されたらどうする?」
岡田麗奈は全く気にする様子もなく言った。「大丈夫よ、心配しないで。すぐにあの男が来るわ。私は媚薬を用意してあるの。それを星澄に飲ませて、あの男と一晩過ごせば、もう後戻りはできないわ。警察に通報しても無駄よ」
「それに私たちはもうお金を受け取って、高利貸しにも返したわ。返すこともできないし、星澄を彼と寝させないわけにもいかないでしょう」
「それにあの男、精神的に少しおかしいみたいよ。そうじゃなきゃ、離婚歴のある女に、あんなに大金を払って結婚しようとは思わないでしょう。要するに子孫を残したいだけなのよ」
「彼女が妊娠さえすれば、あの男は息子に車を買ってくれると約束したわ。星澄にはそれくらいの価値しかないのよ。そうじゃなければ、あの時のあなたが私に...」
言葉が終わらないうちに、ドアをノックする音が聞こえた。
岡田麗奈は時計を見て、嫁の親戚が来たのだろうと思った。
ドアを開けると、太った体格で、黒い半袖を着て、指ほどの太さの金のネックレスをつけた男が入ってきた。
西原健士は大きな声で「ここが夏目利道さんの家ですよね。私は静の叔父ですが、お嬢さんはどこですか?」
彼は既に夏目星澄の写真を見ていて、確かに美人で、自分の好みのタイプだった。