第155章 彼のことが段々分からなくなってきた

夏目星澄はほとんど躊躇することなく、志田十月についていった。

車を少し走らせた後、志田十月は突然笑いながら尋ねた。「夏目さん、私が悪い人だったらどうしますか?もし騙されて連れ去られたりしたら?」

夏目星澄は窓の外を見ていた。彼女たちはすでに山道に入っていた。

彼女は志田十月の言葉と、車内で流れている馴染みの歌声を聞いて、穏やかに微笑んで言った。「そんなことはないわ。あなたの車で流れているのは全部私の歌だもの。本当のファンだってことがわかるわ。私はファンを信じているの」

それに、乗車前にネットで十月荘の宣伝ページを見て、志田十月と母親の写真も確認していた。

彼女の言葉が本当だと分かっていた。

「あはは、夏目さんの信頼、ありがとうございます」

「十月ちゃん、私の方が少し年上だから、よければ星澄さんって呼んでくれない?」