林田瑶子は夏目星澄が霧島冬真に子供の親権を争われることを心配していることを知っていた。
彼女はやむを得ずここから逃げ出そうとしていた。
親友として、このようにすれば夏目星澄が後々苦労することを知りながらも、彼女は支持することを決めた。
「星澄、安心して。私が必ず助けるから」
霧島冬真の方では、大谷希真からの報告を受けた電話だった。
事の経緯も全て把握した。
夏目星澄の両親は、息子が巨額の借金を作り、家を売って返済したくなかったため。
夏目星澄に目をつけ、結納金で借金を返済しようとした。
そして西原健士も善人ではなかった。
表向きは二人の妻を不幸にしたと言われていたが、実際は彼の異常な行為で虐待死させていたのだ。
そのため、もう誰も彼と結婚しようとする女性はいなかった。