第166話 ライブ配信

今回のライブ配信のテーマは「雲夢の宴」で、配信プラットフォームも若者に人気の「ドキドキ」アプリでした。

配信が始まった時は、視聴者はわずか数十人でした。

フォロワー5000人のアカウントとしては、まずまずの数字でした。

和装部の部長である田中美嘉が今回の配信者で、彼女はカメラに向かって熱心に挨拶しました。「こんにちは、みなさん。いつもの美咲です。まず、今回の宴の衣装を提供してくださった

花夢衣装ブランドに感謝いたします。」

「和装が好きな方は、ぜひフォローしてください。後ほど、プレゼント抽選会もありますよ!」

夏目星澄は以前、スマートフォンで時々ライブ配信を見ていただけでした。

実際に現場で見るのは、また違った感覚でした。

夏目星澄は急遽招待されただけなので、パフォーマンスは必要なく、配信者の後ろに座って衣装を見せるだけでよかったのです。

彼女がカメラの前に現れると。

視聴者が一気に増え、すぐに100人を超えました。

多くの人が、彼女たちの美しさと衣装の素晴らしさについてコメントしていました。

「わー、このアカウントずっとフォローしてたけど、今日やっとライブ配信見れた!」

「みなさんの着物すごく綺麗!」

「和装美人さんたち可愛い、大好き!」

田中美嘉はこの小さな盛り上がりを利用して、すぐに夏目星澄が着ている和装の歴史や作りについて説明しました。

「気に入った方は、下のリンクからご注文いただけます!」

そのとき。

アカウントを管理している学生が、夏目星澄が撮影した和風ショート動画もアップロードしました。

夏目星澄が腰丈の襦袢と袴姿でゆっくりと歩み寄り、そよ風に吹かれながら、さりげなくポーズを取る姿は、まるで大家の令嬢のように、凛として気品がありました。

視聴者数が伸びた後。

数分のうちにいいね数が1000を超えました。

10分後には再生回数が5万を超え、さらに増え続けていました。

この動画がネットユーザーに大変好評だったことがわかります。

配信ルームの視聴者数も100人台から一気に1万人以上に増加しました。

これは彼らの配信史上、最高の数字でした。

全員が興奮していました。

視聴者たちはコメント欄で止めどなくコメントを送り続けていました。

「お姉さん綺麗!」

「こんな可愛いお姉さんどこにいるの?」