第188章 霧島冬真に食事を届ける

夏目星澄は霧島冬真の笑みに違和感を覚え、もう一緒にいたくないと思い、急いで茶碗の飯を食べ終え、席を立った。

寝室に戻ると、曲作りをする気分でもなく、そのまま寝ることにした。

翌日、荷物をまとめると、三浦和靖が手配した演技指導の先生のレッスンに向かった。

数日間続けて通い、朝早く出て夜遅く帰る生活を送っていた。霧島冬真は知っていたが、何も聞かなかった。

彼女が外で何をしているのか、まるで関心がないかのようだった。

夏目星澄はこれが貴重な学習の機会だと感じていた。

演技の分野で大成功を収めることは望んでいなかったが、ただ収入を得る機会を増やしたかった。

そうすることで、子供により良い未来を与えることができる。

幸いにも、彼女の努力は無駄にならず、演技の先生からも才能があると褒められた。

同時に、三浦和靖から出演契約書も送られてきた。

夏目星澄は内容を確認すると、出演料とテーマソングの作曲・歌唱で合計30万元。これは彼女の予想を完全に上回っていた。

結局のところ、彼女は演技経験のない新人で、これだけの報酬を得られることは、彼女にとって大きな励みとなった。

霧島冬真との約束通り、分割払いで返済することになっていた。

ちょうど手元に家を売った500万元があったので、まず半分を返そうと考えた。

夏目星澄は直接霧島冬真の銀行口座に送金した。

霧島冬真は会社で仕事中、突然携帯が振動した。

銀行からのメッセージで、誰かが500万元を送金してきたという通知だった。

送金者を確認すると夏目星澄からだった。

霧島冬真は思わず眉をひそめた。彼女の手持ちの金額は把握していた。

一度に500万元を用意することは不可能なはずだ。

何かをしない限り。

夏目星澄は送金が完了したのを確認すると、霧島冬真が仕事で忙しく気付かないかもしれないと思い。

LINEでメッセージを送った。「社長、500万元送金しましたが、確認できましたか?」

「どこからその金を?」

「ご心配なく、盗んだり奪ったりしていません。自分で稼いだお金です。」

「家を売ったのか?」

霧島冬真は考えた。夏目星澄が突然これほどの金額を手に入れたとすれば、家を売る以外に考えられない。

それは彼女名義の唯一の不動産だった。彼との関係を清算するために、よほど必死なのだろう。